研究概要 |
今年度は,研究分担者の渡日からあまり十分な時間がなかったため,当該研究者に現場におけるサンプリング方法や実験装置の組み立て等の習得に主に時間を費やし,来年度に向けた研究準備の段階に終わった. そのなかで,研究分担者がその手法を習熟している分子生物学的な方法を用いて,手持ちの有用細菌株の分類学的な同定を行った.すでに我々の研究室では,環境浄化等に効果的な細菌株を複数分離・保存している.これらの研究室保有の有用細菌株について,16SrDNAの塩基配列を用いた細菌株の同定を実施した.その結果,既存のデータベースとの比較により99%以上の相同性を持ち,3株がAlpha Proteobacteria,1株がVibrio splendid us,さらに1株はErythrobacter aquimarisと,同定された. また,汚濁した環境の水質浄化に用いるバイオリアクターの設計とその組み立てを行った.リアクター内部に収容する細菌付着担体の検討を行った結果,木質炭化物とセラミックを混合し燃焼した多孔質担体が最も有望であることが明らかとなった.このため,来年度はこれらの付着担体を用いて有用細菌を付着・保持させ,もっとも効果的な有機物分解能をもつ細菌性浄化剤の開発を目指す.
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