複数のポリマー種から構成されるブロックコポリマーは、その分子のオーダーで相分離を起こし、ナノオーダーの規則構造を自己組織的に構成する。我々(受入研究者と外国人特別研究員)は、ブロックコポリマーをテンプレートとして利用し、超臨界二酸化炭素を利用することで、ナノ多孔体を作成し、ナノ多孔構造のさらに高度な制御を目的とした研究を行った。孔の形状をチャネル状、あるいは共連続構造にすることが出来れば、例えばフィルター等の応用の用途が広がることになるため、産業応用も期待される。我々は、ナノ多孔体の構造を制御するため、ブロックコポリマーの組成を変えた試料を合成し、多孔体構造との関係について調べた。その結果、ブロックコポリマーの組成と二酸化炭素圧力に依存して、多孔体の構造が閉じたセル状から、連続のチャネル状、さらにレイヤー状(シート状)に変化していくことを見出した。特に同じブロックコポリマーを用いても、二酸化炭素圧力の制御により、閉じたセル状から連続したチャネル状の構造体に変化させることが可能であることがわかった。いずれの場合でも、孔のサイズは10〜30nm程度に制御されている。これまでにもブロックコポリマーの選択的分離によりナノ多孔体は作成されているが、非常に長い時間の処理(分解)が必要であった。本研究の手法では、数分の処理により同程度のナノ多孔体が非破壊で形成できた。
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