研究課題
加速器が巨大となり複雑化するにしたがい、加速器制御用のソフトウエア作成に要するマンパワーが数百人年を越えることがあたりまえとなり、次世代の巨大加速器の制御には1000人年のマンパワーが必要であると予想されている。加速器制御用ソフトウエア作成に要するマンパワーを大幅に削減することを可能とするために、どのような加速器にたいしても適用できる一般的な加速器制御用基本ソフトウエアを国際的な協同によって造りあげることが重要である。1993年秋にベルリンにて開催された制御に関する国際会議において、このような標準化のための国際的なワーキンググループが結成された。この活動はCERNを中心になされているため、今年度はCERNを中心とするヨーロッパの活動を調査するために8名をCERNに派遣し、そのうちの3名はDESYにおいても調査をおこなった。調査の結果によれば、現在のところ、最も普及している加速器制御用のソフトウエアはEPICSである。EPICSは米国のLANL研究所が原型を作り、その後米国を中心としていくつかの研究所の協同により発展したものであり、今後の加速器制御用基本ソフトウエアの標準になりうる候補である。DESYにおいてTESLあプロジェクトの制御に用いられている。しかしながら、EPICSはいくつかの弱点を持ち、これらの弱点を克服するべく、いくつかのソフトウエアプロジェクトが動き出している。特に、CERNにおける高エネルギー物理学の測定器の制御のための標準ソフトウエアの作成を目指すCICERO計画は大いに注目に値する。平成7年5月には、EPICS、CICEROなどを比較検討し、今後の方向を議論する研究会が開催される予定である。