研究課題
本年度は、スラウェシ州、マルク州(平成6年8〜10月)、シンガポールおよびリアウ州(平成7年1〜2月)において調査研究を実施した。A.スラウェシ州(1)ウジュンパンダン周辺におけるサンゴ礁海域、沿岸漁撈とエビ養殖の調査、水産資源の流通に関する面接調査、(2)ランテパオにおける熱帯高地の森林資源利用、水田養殖、(3)ボネ湾のマングローブ地帯における水産物の流通、(4)北スラウェシの山地における森林資源利用・昆虫食の調査、(5)サンギル諸島におけるサンゴ礁海域の資源利用。B.マルク州(6)ハルマヘラ島における森林資源利用と昆虫食、水産資源の流通、(7)バチャン島におけるサゴと水産資源利用、(8)セラム島における熱帯雨林における資源利用、サゴヤシの利用、沿岸養殖と流通、(9)サパルア島における資源管理制度。C.シンガポールとリアウ州(10)活魚の漁獲と養殖、流通機構と中国の春節における生魚食慣行。以上の調査から、とくに森林と沿岸海域における資源利用の問題を、a.自給用、b.地域内・地域間の交換・交易、c.シンガポール・香港向けの国際交易という3つの異なる流通機構にわけて考察した。とくにb.について、ハチミツ、サゴでんぷん、魚介類の流通・交易では個人や集団の移動が重要な役割を演じていること、c.では,ナマコ、フカひれ、白蝶貝、クラゲなどの水産資源と、藤、樹脂、丁子、ア-モンドなどの森林資源が中国市場向けに重要であり、複雑な流通機構が介在することがわかった。また、活魚の香港向け輸送については、香港・シンガポールとインドネシア各地とのネットワークを通じた流通機構が存在することが判明した。
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