研究課題/領域番号 |
06281107
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
清木 元治 金沢大学, がん研究所, 教授 (10154634)
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研究分担者 |
舘 鄰 東京大学, 大学院・農学系研究科, 教授 (30011711)
伊藤 道恭 摂南大学, 薬学部・薬品分折学教室, 助手 (30201932)
木村 成道 東京都老人総合研究所, 分子生物学部門, 室長 (60073029)
谷口 俊一郎 九州大学, 生体防御医学研究所・細胞学部門, 助教授 (60117166)
岡田 保典 金沢大学, がん研究所, 教授 (00115221)
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キーワード | がん / 転移・浸潤 / 細胞外マトリックス分解 / メタロプロテアーゼ / 膜型メタロプロテアーゼ / 転移関連遺伝子 / 転移抑制遺伝子 |
研究概要 |
がんの転移浸潤の分子的な基盤を明らかにし、有効な制御法を開発することはがんの治癒率を向上させるうえでも最も成果が期待されているアプローチの一つである。しかし、がんの転移浸潤は多細胞生物に於ける組織構築の基本原理に関する異常に根ざしており、未解明の部分が多いこの領域で分子レベルでの理解を深めるための道具立ては必ずしも豊富とは言えない。そこで本研究では転移浸潤能に関わる新規遺伝子を単離することにより、転移浸潤研究の新しい局面での理解を進展させることを基本的な戦略としながら、その成果を転移制御法の開発へと応用することを目的とする。本年度は新しく同定した膜貫通構造を持つMMP-2活性化酵素(MT-MMP)や他のマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)による細胞外マトリックス分解ががん悪性形質にどのように反映するかを組織学的及び実験生化学的手法で解析した。また、がん細胞の浸潤能を規定する遺伝子産物の機能を細胞生物学及び生体工学的手法で解明する試みを開始する。 1.MT-MMP遺伝子配列から予想された膜貫通部位は細胞表面への酵素の局在とMMP-2活性化能に必須であった。MMPの構造的、生化学的特性を明らかにするために大腸菌での大量発現系を作った。 2.MT-MMPをがん細胞株に発現させると細胞の実験的浸潤能を亢進させた。胃がん及び肺がん組織でもMT-MMPが発現し、MMP-2活性化が認められた。MMP-2活性化率と組織内浸潤およびリンパ管侵入との間に正の相関が見られた。MMP-9活性化率は胃壁浸潤とは相関が認められたがリンパ管や血管への侵入とは相関が見られなかった。 MMP-11の発現はマウスの浸潤性絨毛型胎盤及び子宮で発現が高く、シバヤギの非浸潤性胎盤では発現が低かった。 4.MT-MMPのトランスジェニックマウス及びアクチン、カルボニン遺伝子のターゲッテイングマウスの作成が進行中である。
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