研究課題/領域番号 |
06301047
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
飛鳥井 雅道 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (00027533)
|
研究分担者 |
斎藤 希史 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (80235077)
平田 由美 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (60153326)
米井 力也 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (50178373)
松田 清 京都大学, 総合人間学部, 教授 (40027561)
木村 崇 京都大学, 総合人間学部, 教授 (80065234)
|
キーワード | 十九世紀日本 / 異言語接触 / 漂荒紀事 / イソップ物語 / 二葉亭四迷 |
研究概要 |
本研究の中軸をなしていた《漂荒紀事》注釈作業は、注釈のいっそうの充実と語彙欄の補充を図るため公刊を一年延長したが、無事本年度をもって終了し、京都大学人文科学研究所より《注釈漂荒紀事》として出版される運びとなった。本年度のもっとも大きな実績であろう。また、それと並行して、イソップ物語の翻訳についての研究を開始し、Robert Thom《意拾喩言》や渡部温《通俗伊蘇普物語》などの分析に着手した。語彙および文体の面で興味深い事実がいくつか見出され、いわゆる言文一致体成立への下地がどのようなものであったを明らかにする資料となることがわかった。研究は継続中であり、機会を得てその成果を公表する予定である。これにはおもに、飛鳥井雅道・松田清・平田由美・米井力也・木津祐子があたった。一方で、いわゆる言文一致体がじっさいにどのような過程を経て産み出されてきたかを再検討するため、木村崇・谷川恵一・斎藤希史を中心に、双葉亭四迷の翻訳も課題としてとりあげられ、手始めに《あひびき》を原文・初版・二版と精密に対照し、分析のための資料作りがおこなわれた。本研究をさらに発展させたプロジェクトへの布石として、有意義であった。なお、《漂荒紀事》の注釈作業を通じて研究分担社相互に共有された問題意識・分析手法は、《通俗伊蘇普物語》や《あひびき》の研究においてもきわめて有效に継承されている。一語一語にこだわり徹底した文献調査をおこなうわれわれのやりかたは、見た目のはなやかさには乏しいものの、この方面の研究に裨益するところはむしろ大きいひそかに自負している。
|