研究課題/領域番号 |
06301103
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北畠 能房 京都大学, 大学院・人間 環境学研究科, 教授 (20109896)
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研究分担者 |
有吉 範敏 熊本大学, 教養部, 助教授 (10176000)
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キーワード | 環境・経済統合勘定体系 / 完全体系 / 改訂SNA / 実物・金融連関 / 国際連関勘定 / 環境資源利用 / 厚生評価と貨幣評価 / セカンド・ベスト |
研究概要 |
国民経済計算体系(SNA)のサテライト勘定として国連統計局によって公表された「環境・経済統合勘定体系」(SEEA)にみられる課題点の克服をめざして、本年度は以下の2つの課題について研究を行った。第1にSEEAに適切な修正・拡張を施すことによって、実物面だけでなく、金融、国際連関等の側面を整合的かつ網羅的に表示することの出来るSEEA完全体系の作成を行うと共に、国際的環境問題と国内経済との関係を例示的に明らかにしうるような関連資料の収集を行うことである。第2に、地域環境資源利用の貨幣評価と厚生評価との係わりを明らかにしうるような理論モデルの構築・分析を行うと共に、地域環境資源評価の理論的基礎を明らかにすることである。 第1に関しては、実物的フローだけを扱う現行SEEAに適切な修正・拡張をほどこすことによって、実物面だけでなく、金融、所得分配、国際連関等のあらゆる側面を整合的かつ網羅的に表示することの出来るSEEA完全体系の作成を行った。そして、このSEEA完全体系の適用例として、近年、発展途上国における環境破壊との関連が注目されている海外経済協力および自然保護債務スワップを取り上げ、完全体系による把握を通じて、これらの活動の真の姿、とりわけ国際的マネーフローと環境問題との関係を明らかにした。 第2に関しては、2地域における環境資源のセカンド・ベスト利用モデルを構築し、その理論的特質の解明と数値シミュレーション及び数値解の勘定体系表示を行った。その結果、環境資源のセカンド・ベスト利用は地域における総人口が最適に設定された時に達成されること、環境サービスの和として表される環境資源の評価額は2地域間における効用分布に依存して変化すること、厚生評価と貨幣評価の対応条件等を明らかにした。
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