研究課題/領域番号 |
06304028
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 総合 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
糸川 嘉則 京都大学, 医学研究科, 教授 (80025593)
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研究分担者 |
木村 美恵子 京都大学, 医学研究科, 助教授 (60025658)
小林 昭夫 昭和大学, 医学部, 教授 (30153589)
森井 浩世 大阪市立大学, 医学部, 教授 (40046983)
五島 孜郎 東京農業大学, 農学部, 教授 (60078079)
西牟田 守 国立健康, 栄養研究所, 室長 (50112850)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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キーワード | マグネシウム最小必要量 / リン過剰摂取 / 副甲状腺 / 糖尿病 / 本態性高血圧 / 虚血性心疾患 / 小児成人病 / 骨粗鬆症 |
研究概要 |
本研究はマグネシウムの生理作用と薬理作用を明確にし、成人病の予防、治療に役立てることを目的として実施された総合研究である。マグネシウムの最小必要量は成人の出納試験の結果、摂取エネルギー1000Kcal当たり80mgと考えられるが、マグネシウム以外の栄養素摂取量やストレス、運動量などにより変化を示すことが明らかになった。高齢者入院患者と若壮年を対象に食事調査と血漿マグネシウム濃度を測定した結果、マグネシウム摂取量が1日150mgを下回ると血漿マグネシウム濃度が正常値を切る例が見られ、これからも成人のマグネシウムの最小必要量は150mg/日と推定された。動物実験ではラットにリンを過剰に摂取させると腎臓の石灰化と腎臓機能の障害が発生するが、マグネシウムを添加することによりこの異常が防げることが解明された。緬羊を用いた研究では副甲状腺摘出により骨吸収が強く抑制され、血清マグネシウム濃度の低下と尿中マグネシウム排泄量の増加が起こることが解明された。反芻動物におけるマグネシウム恒常性はカルシウム代謝調節機構に依存している可能性が示された。臨床的研究では糖尿病、虚血性心疾患、本態性高血圧などの成人病患者の多くで血清マグネシウム濃度の減少を認めた。特に血糖コントロールの不良な糖尿病患者では血清マグネシウム濃度が低値であった。また、経口血糖降下剤を用いて血糖コントロールが改善すれば血清マグネシウム濃度も増加してくることも明らかになった。小児の肥満、高血圧、糖尿病患者では血液中イオン化マグネシウム濃度等が低下する傾向が認められ、小児成人病におけるマグネシウムの重要性が認識された。骨とマグネシウムの関係について内外の文献を総括した総説では、骨粗鬆症患者でマグネシウムが欠乏していることが推測され、骨粗鬆症の予防や治療にマグネシウムを利用するべきことが主張された。
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