僻地農山漁村における地域開発の現状と実態を実証的に比較研究して総合的な集約をすることを目的とした本研究は、昨6年度において調査した対象諸地域のうちから、本年度は山村として四国・徳島県の祖谷村、大分県の椎葉村、和歌山県の十津川村を、海村漁業地域としては新潟県の佐渡島、島根県の隠岐島、沖縄県の宮古島を選びまた新たに愛媛県の三崎町を加え、それぞれインテンシヴに調査を続行した。 これらの僻地農山漁村のいずれの地域も共通の重要な困難として生業の不振にともなう地域全体の衰退、人口の流失と減少、特に若手労働力の不足、高齢化の急進、また教育・医療・福祉問題の深刻化に悩まされているが、「町村おこし」として代替産業の模索、特殊生産品の工夫、観光開発、国庫補助による開発事業費での道路整備や諸施設の更新・拡大などを試みており、その方式はそれぞれの地域の特性や差異によって多種多様であって、その効果もかなりの違いが生じている。経済的・産業的事態の変容は、ひとりこれら僻地のみならず日本全体の問題であるが、この状況のなかで各地域がどう対処し、どのようにして独自の地域活性化をはかり、文化・福祉の向上を推進していくか大きな問題であろう。 平成8年度は最終段階として若干の地域において補充調査を行い、3年間にわたる調査研究の成果を整理・総合・集約して、業績を公表する予定である。
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