研究概要 |
1.半導体ヘテロ構造 GaAs,AlGaAs,GaP,AlGaP,ZnSe,CdTe,CdSなどの化合物半導体の非線形光学定数の値を反射第2高調波エリプソメトリとメーカーフリンジ法とを併用して決定した。さらに,前年度に引き続きβ-SiC/Siの評価をおこない,本来SHG活性であるべきSiCがアンチフェイズドメインの形成によって巨視的にはSHG不活性となってしなうというまったく新しい現象を発見した。これは半導体材料の非線形光学特性の人為的制御の可能性を示唆するもので,大変に興味深い。 2.有機系ヘテロ構造 有機非線形光学結晶とフッ素化ポリイミドとからなる疑似位相整合SHG導波路素子の作製技術を新たに開発することに成功した。この手法は広範囲の有機結晶に適用可能な極めて汎用性の高いものである。この手法で作製したDMNP/ポリイミド周期導波路を用いてTi:サファイアレーザ光のSHG測定をおこない,疑似位相整合が達成されていることを初めて確認した。 以上の研究を通じて,高性能な波長変換素子を実現するために必要とされる「非線形光学ヘテロ構造」の基礎的な特性と素子への応用の可能性を明らかにすることができたと考えている。
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