研究課題/領域番号 |
06454235
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
原田 勝二 筑波大学, 社会医学系, 助教授 (60086618)
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研究分担者 |
嵯峨井 勝 国立環境研究所, 地域総合部門, 総合研究官
村上 正孝 筑波大学, 社会医学系, 教授 (30010078)
下條 信弘 筑波大学, 社会医学系, 教授 (00080622)
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キーワード | GSTM1 gene deletion / CYP1A1 / lung cancer / genetic association / case control study / genetic risk factor / Xenobiotics |
研究概要 |
環境変異原物質や毒性物質に暴露される危険の多い工場地帯は職業性癌特に肺癌に対する羅患リスクが高いことが知られている。一方、同一環境下で化学発癌物質に暴露されていても発症する個体としない個体が存在する。この遺伝的素因が基盤となる疾患感受性の違いを発癌物質の代謝・解毒に関与するチトクロームP450familyのひとつCYP1A1の遺伝的多型およびGlutathione S-Transferase(GSTM1)のgene deletionにつきDNA解析を行った。フィールドとしては環境変異原に暴露される危険の多い工場地帯すなわち中華人民共和国東北地方(アルミ、銅、錫、石油の精錬場やガスピッツ製造場の多い地域)の医療機関に入院中の肺癌患者(135名、男性)および同地域の一般健常人集団(161名、男性)に関し、CYP1A1の多型(1、2-1、2型)およびGSTM1(A、AB、B、O型)のcase control studyを行った。この結果、次のことが明らかとなった。 1)CYP1A1の遺伝的多型のうち、過去のデータとして2型が肺癌に多いとの報告があったが、今回の研究では小細胞癌、腺癌、扁平上皮癌とも各遺伝子型の分布については健常人コントロールとの間に有意な差は見い出されなかった。 2)GSTM1は遺伝子全域にわたる欠失のほか、Exon7領域におけるアミノ酸置換を伴うコドンの変化すなわちAAG(Lys)型とAAC(Asn)型の2種が存在する。本研究ではこの領域の変異も含め、疾患群と健常群とを比較した。肺癌全体と比較した場合、GSTM1 gene deletionは有意に高い頻度で疾患群に検出された。特に、腺癌、小細胞癌では健常人との間に明らかな分布の違いが見い出された(P<0.001)ので、遺伝的risk factorとしてのGSTM1 gene deletionの意義が高まった。さらに、Exon7部位の多型については有意差は見い出されなかった。
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