本研究では、クローニングしたH2受容体遺伝子に人工的に点突然変異導入、あるいはTruncation導入など遺伝子操作技術を用いて変異遺伝子を作成し、これを遺伝子発現系に導入し、正常の遺伝子を発現したものと受容体機能、あるいは受容体細胞局在などを比較検討することによって、さまざまな受容体の機能発現に関わる問題を明らかにすることを試みるものである。 まず、われわれは3カ所の糖鎖結合コンセンサス部位の点突然変異遺伝子を作成し、これらをCHO細胞に発現させ、糖鎖修飾の影響を検討したところ、3カ所のいずれもが糖鎖による修飾を受けているわけではなく、このうちの2カ所が糖鎖によって修飾されていることを見いだした。また糖鎖による修飾はH2受容体のライガンド結合、cAMPやカルシウムといったセカンドメッセンジャー産生能あるいは受容体の細胞内局在などの受容体機能に大きな影響を与えないことが明らかにされた。この予備的研究成果についてはすでに邦文雑誌に論文として発表しているが、より完結した形で現在英文論文として投稿中である。 さらに、以前から我々が報告してきたH2受容体脱感作の機構として受容体キナーゼあるいはC-キナーゼの影響を検討するため、これらのキナーゼの燐酸化コンセンサス配列部位に変異導入を行い、現在その影響を詳細に検討している。これらのほかさらにいくつかの変異導入を試みており、今後興味ある知見が得られることものと思われる。
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