研究課題/領域番号 |
06454343
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
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研究機関 | (財)癌研究会 |
研究代表者 |
尾形 悦郎 癌研究所, 部長 (70013761)
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研究分担者 |
高橋 俊二 癌化学療法センター, 研究員 (90221358)
関根 今生 癌研究所, 研究員 (10134602)
松本 俊夫 東京大学, 医学部, 講師 (20157374)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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キーワード | 骨転移 / インテグリン / 骨吸収 / 破骨細胞 / アネキシン / ビスフォスフォネート / 骨代謝マーカー |
研究概要 |
癌の骨転移の成立機序を解明し、その予防・治療法を開発する目的で検討を行い、以下の成績を得た。 1.腫瘍細胞の骨基質および骨間質細胞への接着機構の検討:骨転移能を持つ腫瘍細胞の多くがα4β1インテグリンを発現し、骨髄間質細胞(BMSC)はα4β1インテグリンと結合するVCAM-1を構成的に発現する。我々は、抗VCAM-1或いは抗α4β1インテグリン抗体により黒色腫細胞株B16のBMSCとの接着が抑制されると共にB16との接着によるBMSCの分化抑制が阻害されることを見出した。更に、B16との接着がBMSCにより支持される破骨細胞形成を促進し、これは上記の抗体の何れによっても抑制されることが明らかとなった。以上の成績から、腫瘍細胞とBMSCとのα4β1インテグリンとVCAM-1を介する細胞間接着が、骨転移の成立、骨芽細胞分化の抑制と共に破骨細胞形成の促進による骨吸収の亢進にも関与する可能性が示された。 2.腫瘍細胞による骨吸収の促進におけるannexin IIの役割の検討:破骨細胞形成因子としてヒトannexin II cDMAをcloningし、これを過剰発現する乳癌細胞株を樹立した。また、annexin IIのantisense plasmidをtransfectしannexin IIの発現を阻害した乳癌細胞株の樹立にも成功した。これらの細胞株を骨髄細胞と共培養し、破骨細胞形成と骨吸収能に及ぼす影響を検討することにより、腫瘍が産生するannexin IIが転移巣での骨吸収に及ぼす影響の解析が可能となるものと思われる。 3.骨転移が骨代謝動態に及ぼす変化の臨床的検討:強力な骨吸収抑制薬であるビオフォスフォネートが骨転移の進展に及ぼす影響を検討した。骨代謝マーカーで評価した骨吸収の抑制効果と腫瘍マーカーで評価した転移巣の進展度との間には相関が認められ、骨吸収の抑制が骨転移の進展抑制効果も示す可能性が明らかとなった。
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