研究概要 |
【本年度の研究目的】Mモードエコー法は時間分解能に優れ左室径や短縮率の評価だけでなく時相解析にも有用である。しかし、傍胸骨アプローチによる描出が不可欠であるため、断層法に比べて描出部位が限定され、良好な記録が得られないことが少なからずある。本研究では、傍胸骨アプローチ以外で良好な描出が可能であったハイフレームレート断層像を用いて左室Mモードエコー図の再構築を試み、左室径を再構築エコー図上で自動計測した従来による計測と比較した。健常例、虚血性心疾患例、心臓弁膜症例を含む計10例(年齢56±12才)を対象とした。 【方法】左室長軸断層像を113frames/seeにて記録した。従来Mモードエコー図による左室径計測と同様に、左室短軸腱索レベルを指定して、断層像からMモード図を再構築した。再構築演算の過程で指定した位置から心内膜位像の自動トレースを行い左室径変化(dLVd/LVDs)を求め、従来方によるMモードエコー図を用手的にトレースして得られた結果と対比した。 【結果】用手的に位置を指定する、左室径計測結果(LVDd,LVDs)の両手法の差異は小さく、結果は一致していた。左室変化速度では従来法の用手的トレースに比して過小評価する傾向が見られた。 超音波断層像からMモード図の再構築および、左室内径変化の計測が可能であった。次年度以降、本手法を用いて左室壁局所の径変化率や壁厚変化率を求め、左室局所機能についてさらに検討する予定である。
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