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1995 年度 実績報告書

コレストロール転送を制御する生体内因子の解析とその応用への基盤研究

研究課題

研究課題/領域番号 06557128
研究機関東京大学

研究代表者

井上 圭三  東京大学, 薬学部, 教授 (30072937)

研究分担者 佐伯 隆生  エーザイ(株), 研究開発本部・探索第三研究部, 主任研究員
供田 洋  北里研究所, 生物機能研究所, 副部長 (70164043)
青木 淳賢  東京大学, 薬学部, 助手 (20250219)
新井 洋由  東京大学, 薬学部, 助教授 (40167987)
キーワードコレステロール / マクロファージ / ライソソーム / トランスポート
研究概要

我々はこれまでに、新たなる抗動脈硬化薬の標的となりうる細胞内コレステロール輸送機構に関する研究を続けてきた。外界由来のコレステロールはエンドサイトーシスの後ライソゾーム内で加水分解され、細胞質内へ遊離型となって移行する。さらに、小胞体へと移行したコレステロールは再エステル化され油滴として蓄積する。この一連の過程の中で我々は、ライソゾーム膜通過段階及びそれ以降のコレステロール輸送に注目した。
遊離型コレステロールのライソゾーム膜通過過程は、その側鎖構造に特異的であり、C17位或いはC20位にオキソ基をもつステロイドにより特異的に阻害される。また、ライソゾーム内酸性環境を要することから、この過程に何らかのマシナリーが存在することを示唆してきた。そこで、紫外線照射によりラジカル化し、標的分子との間に共有結合を作って結合する光親和性標識体を利用して、ライソゾームでのこのマシナリーに関わる因子の同定を試みた。純度の高いライソゾーム画分調製法としてデキストラン法を用い、これにより得られるライソゾーム・ミトコンドリア画分と、小胞体画分とを個々に標識した。その結果、それぞれのオルガネラに特異的なバンドが検出されたが、中でもライソゾームにおいては、輸送阻害活性を有するプロゲステロン特異的でライソゾームにのみ局在する22kDaの蛋白質が検出された。この22kDa蛋白質はライソゾームにおけるコレステロール輸送に関わる因子の有力な候補と考えられたことから、その精製を試みた。現在、これにより単一バンドとして得られた22kDa蛋白質の微量アミノ酸配列決定を進めている。ライソゾームにおけるコレステロール輸送を担う因子の同定は、遺伝性疾患であるC型ニーマン・ピック病との関与も含めて非常に興味深く、早急に解析を進めてゆきたいと考えている。
またマクロファージにおいては、ライソゾーム膜を通過したコレステロールが、小胞体で再エステル化される経路のほかに、マクロファージ自身が合成するアポEを含むHDL様粒子に乗せられ、細胞外に積極的に分泌される経路があることを見出してきた。ライソゾーム通過後のコレステロール輸送には中間径フィラメントの関与が報告されており、我々の見出したこの経路における中間径フィラメントの役割を現在検討中である。これらの関与が明らかになれば、コレステロール輸送制御機構を細胞骨格という新たな視点から改めて見つめ直すことになり、従来に無いタイプの抗動脈硬化薬開発の糸口となるであろう。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Yuji Sato et al.: "Side-chain structure is critical for the transport of sterals from lysosomes to cytoplasm" Biochim. Biophys. Acta. 1257. 38-46 (1995)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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