研究課題/領域番号 |
06558090
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
鈴木 正昭 岐阜大学, 工学部, 教授 (90093046)
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研究分担者 |
黒住 精二 帝人株式会社, 生物医学総合研究所, 所長
成宮 周 京都大学, 医学部, 教授 (70144350)
野依 良治 名古屋大学, 理学部, 教授 (50022554)
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キーワード | プロスタサイクリン / イソカルバサイクリン / APNIC / 受容体タンパク質 / クローニング |
研究概要 |
プロスタサイクリンは強力な血管拡張作用と血小板凝集抑制作用を持つため循環器系疾患の治療に有効であるが、その不安定性のため医療への使用は難しい。本研究者らは独自に案出した3成分連結PG合成法を駆使して化学的に安定でかつ高いプロスタサイクリン活性をもつ人工類縁体イソカルバサイクリンの高効率合成を達成することができた。なお、この化合物は現在、虚血性脳疾患および抹消血管閉塞症治療を対象に臨床試験に供されている。この有機金属的新手法によりPG受容体探索子としての受容体アゴニストおよびアンタゴニストの分子設計に用いる基本PG中間体の効果的供給が可能となった。次に、イソカルバサイクリンの構造修飾により、光親和性受容体探索子APNICを開発した。この探索子を用いた生化学実験により受容体のリガンド分子に対する結合部位が一カ所であること、受容体-リガンド複合体の解離定数(Kd)が4.7nM、受容体タンパク質の単位重量当たりの最大結合量(Bmax)が0.58pmol/mgタンパク質であることなどが明らかになった。さらに、特異的受容体タンパク質の光親和性標識実験を行い、癌化肥満細胞、ブタ血小板、さらに、ヒト血小板中のプロスタサイクリン受容体タンパク質を同定し、分子量がそれぞれ43、45、および52kDaの糖タンパク質であると決定した。一方、共同研究者である成宮らはヒトプロスタサイクリン受容体のcDNAのクローニングに成功し、その遺伝情報から受容体タンパク質部分の一次構造を提出した。現在、この一次構造に基づく構造活性相関を検討している。
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