研究課題/領域番号 |
06610150
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
上林 靖子 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・児童・思春期精神保健部, 部長 (50132874)
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研究分担者 |
和田 香誉 埼玉県立衛生短期大学, 保育学科, 助教授 (40201256)
藤井 和子 国立精神, 神経センター・精神保健研究所・児童・思春期精神保健部, 室長 (00181305)
中田 洋二郎 国立精神, 神経センター・精神保健研究所・児童・思春期精神保健部, 室長 (20106214)
北 道子 国立精神, 神経センター・精神保健研究所・児童・思春期精神保健部, 室長 (60214780)
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キーワード | ADHD / SCALE / PREVALENCE / DIAGNOSIS |
研究概要 |
平成4年度までに4才から12才までの児童を対象に第1回の「多動と注意の障害に関する調査」を行った。その後平成6年度までに2年後の追跡調査を行い、651名の有効回答が得られた。 初回調査と第2回調査で得られた、多動と注意に関する行動評価の3つの因子得点を用いてクラスター分析を行い、以下の5群を区別した。 第I群:1・2回とも不注意・多動衝動性得点がともに高い群 21名(3%) 第II群:1回目のみ不注意得点が高い群 86名(13%) 第III群:1・2回ともいずれも低い群 396名(60%) 第IV群:1・2回とも不注意得点のみ高い群 111名(17%) 第V群:2回目のみ不注意得点が高い群 46名(7%) 第I群は多動衝動性得点・不注意得点が2年間にわたって高く、社会生活面では、友達が少ない、友達や親とうまくやっていくことが難しい、自分から進んで行動することが少ない、学習面では苦手科目が多い(国語・算数に加えて体育・美術も含まれている)など、サブクリニカルな要因がみられた。第II群は初回調査の不注意得点は高いが、教師からの問題の指摘も少なく、生活面での問題もないことから、発達にともなって自然と落ち着いてくる群と思われる。第IV群は「不注意」という特徴が持続する群であり、学習面では問題はないが、生活面では友達が少ない、友達や親とうまくやっていくことが難しいなどの特徴がみられた。第V群は、生活面では友達も多く、対人関係もうまくやっているが、学業面で国語・算数が苦手という児童の割合が高かった。また、他の群と比較して、教師からの指摘として「反抗性」があげられることが多かった。 今回の一般児童を対象にした調査で、注意欠陥多動障害の診断基準を満たす高得点児の出現率は8.8%であった。クラスターでは第I・II・IV・V群のなかに高得点児が含まれているが、臨床像として注意欠陥多動障害を考えている際には、多動と注意の行動評価得点だけでなく、社会生活面、学習面も重要なファクターであること、また、それらを含めた際に、一般児童のなかにも約3%の出現率で注意欠陥多動障害と考えられる子どもがいることが示唆された。
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