研究課題/領域番号 |
06610150
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
上林 靖子 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・児童・思春期精神保健部部長 (50132874)
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研究分担者 |
和田 香誉 埼玉県立衛生短期大学, 保育学科, 助教授 (40201256)
藤井 和子 国立精神, 神経センター・精神保健研究所・児童・思春期精神保健部, 室長 (00181305)
中田 洋二郎 国立精神, 神経センター・精神保健研究所・児童・思春期精神保健部, 室長 (20106214)
北 道子 国立精神, 神経センター・精神保健研究所・児童・思春期精神保健部, 室長 (60214780)
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キーワード | ADHD / SCALE / PREVALENCE / DIAGNOSIS |
研究概要 |
注意欠陥多動障害は、幼児期まで明らかになる障害であるが、これをできるだけ早期に診断し、養育にあたって適切な配慮をすることが、2次的な情緒や行動の障害をひきおこさないためにも重要である。幼児期あるいは学童前期にみられる不注意や多動衝動性などが、発達的に改善していくものであるか否かを知る手がかりを得ることがこの研究の目的である。 平成4年度までに2次に分けて、4才から12才までの児童を対象に、第1回の「多動と注意の障害に関する調査を行った。この調査の回答者を対象に、それぞれ2年後に追跡調査を行った。不注意と多動衝動性の変化により、2回の調査とも不注意と多動衝動性が高い得点を示したもの(第1群)、初回調査で多動衝動性は高くないが、不注意であったもののうち、2年後になお不注意である群(第2群)と2年後には不注意を示さなくなっている群(第3群)をクラスター分析により区分した。これらについて、胎生期、周産期の合併症、既往歴、家族構成などを検討した。 第1群は11人、妊娠中あるいは周産期に特記すべき異常をみとめたものはなかったが、6人に代謝異常、先天性心疾患ほかの先天異常あるいはけいれんの既往を認めた。第2群は70人、妊娠中・周産期の異常(妊娠中の感染症1人、早産2人、新生児黄疸1人、骨盤位1人、帝王切開3人など)が8件認められた。既往歴では髄膜炎・けいれん・甲状腺腫、など7人で記載があった。第3群は44人であった。帝王切開での出産、逆子であってものが1名、既往では低血糖発作甲状腺腫が3名で認められた。家族構成では核家族・拡大家族あるいは父母の同居・同胞数などについて検討したが群間に特徴的な差は認められなかった。 1群は臨床的な注意欠陥多動障害に匹敵する群であり、背景に既往疾患として認められた生物学的疾患の関与が濃厚である。3群はこれらの要因が最も少なく、発達的に改善している群と見なされる。これらの要因が児の注意と多動衝動性の問題とどのような関連があるかは、今後事例を詳細に検討することが必要である。
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