1 取り上げた私的相談機関は、他の専門機関が対応しにくい問題、あまり対応できていない問題である嗜癖および思春期問題行動などを対象として、多様な援助プログラムを組み積極的に援助をおこなっている。他の専門機関が十分になしえていない問題への援助をおこなっていることが、この機関の第一の社会的役割と言える。 2 とくに、そうした問題で悩む家族にたいして相談の場を提供し、家族がその認知や行動パターンを変容さえていく援助をおこなう。それによって家族が苦悩から解放され、適切な対応行動をとっていけるようになる。この家族介入の実施が援助の第一の内容である。この援助過程は、家族システム内の相互作用パターンの変化によって、IPが治療や相談の場に登場しIP自身の回復過程が始まるという、初期介入の機能もはたしている。 3 嗜癖問題のなかでも、医療機関や保健の専門機関でも比較的対応しにくい摂食障害やギャンブル依存症などの行動嗜癖、また、あたらしく嗜癖問題としてとらえられるようになってきた人間関係嗜癖(共依存症)、さらに嗜癖のIPのもので育ってきたACの問題や、児童虐待、性的虐待のサバイバーの問題などにたいして、プログラムを柔軟に改変するなどして積極的に援助している。こうした既存の専門機関がまだ対象としにくい現象としてはマイナ-な問題、あたらしく問題として取り上げれるようになった問題などに取り組んでいくこと、これも私的相談機関の社会的役割と言える。 4 実践の蓄積の過程で洗練させていった問題把握の視点や援助技法などを、医療や保健、福祉などの専門職に伝達、教育する活動もまた多様におこなっており、これもまた重要な社会的役割をはたしていると言える。 5 初期介入や家族介入の効果はかなり高いと言える。
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