本年度は、昨年度の調査研究が不十分であった在家仏教諸教団(本門仏立宗、解脱会、念仏真教、真如苑、立正佼成会、創価学会など)への参与観察と資料収集および面談聴き取り調査を行った。とりわけ、本門仏立宗を中心に立正佼成会と創価学会を加えた3教団の家庭集会(御講、法座、座談会)への参与観察と面談聴き取り調査を重点的に行い、その成果を研究成果報告書に収録した。その概要は、以下の通りである。 (1)本門仏立宗の「御講」が儀礼中心であるのに対して、立正佼成会の「法座」や創価学会の「座談会」は座談中心であること。 (2)本門仏立宗の「御講」が僧侶中心であるのに対して、立正佼成会の「法座」や創価学会の「座談会」は在家者中心であること。 本門仏立宗の「御講」が布施の授受の場であるのに対して、立正佼成会の「法座」や創価学会の「座談会」は金銭無用の場であること。 (4)こうした違いが幕末期に内楼型の在家教団として出発した後に僧侶と寺院を持つに至った本門仏立宗と、太平洋戦争後に急膨張をとげ内部に僧侶・寺院を含まない立正佼成会(提携型の在家集団)・創価学会(内棲型の在家教団)の、在家教団としての構造的な違いに由来していること。
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