1.[設備] 前年度に設備したパーソナルコンピュータ(マッキントッシュCL575)に接続する高性能のプリンター(キャノン レーザーシヨットLBP720.A3判印刷可能)を設備した。 2.[データ作成] 昨年度に開発した「長崎貿易情報処理システム」(各種情報の年表的処理システムと貿易品の数値的処理システム)に、これまで収集・整理済みのデータを精力的に入力した。年表的な情報としては、元禄〜正徳期における幕府の法令に関わる情報の入力を完了した。次いで、対外関係の情報について、元禄〜宝永期の貿易関係の情報を中心に入力した。貿易品の数値的情報としては、主に宝永期の貿易品に関する数値情報を入力した。情報量がかなり多いために、今後もなお諸情報の入力作業を続行する。 3.[考察] 幕初から元禄期に至る幕府の対外貿易に関する政策は、貿易運営の管理と輸出入品の統制を中心として展開されてきた、と見る事ができる。それが元禄中期において、幕府の一財源として長崎での外国貿易の運営を位置づける改革が展開された。これは、窮乏した幕府財政の立直しの一環として策されたものであるが、次の宝永期になると新井白石が登用されたことによって、貿易政策が従来の経済政策的見地からの施策に加えて、幕府政治との関連においてどのように位置づけるべきかなどの新たな貿易論が加わるようになり、より広い視野からの考察が必要とされる状況が明らかになってきた。対外関係の情報のみならず、幕府政治や経済・社会等の関連情報を豊富に取り込んで貿易政策の実態を究明する必要がある。次年度には、このような見地から収集・処理した情報をもとに、元禄から正徳期における対外貿易の実態をまとめた報告書を作成する。
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