研究課題
まず国立天文台水沢10mアンテナのフロンドエンド室に設置されている22GHz受信機の周波数変換部をアンモニア分子輝線の周波数である23GHzで使用できるように変更した。その際、これまでの受信機の性能にやや能力不足が考えられたので、受信機の基本性能を向上させるために受信機冷却システムにかなりの改造を加えた。その結果、性能は格段に良好(システム雑音温度で150K以下)になった。ただし、その改良の為に多くの時間を費やし、今年度の観測計画がやや遅くなる原因にはなった。一方、既に設置されている音響光学型分光計の改良を行い、アンモニア分子輝線の多量のデータ取得に最適なシステムにした。データ解析については、数千点の観測点の分光データの解析専用のワークテーションを購入した。そして、そのワークステーション上で作動するデータ解析用ソフトウエアの作成を行った。さらに、野辺山宇宙電波観測所で現在使われているデータ解析ソフトウエアであるNEWSTARを導入して、より多量のデータの解析に対応できるようにした。観測の実際については、比較的アンモニア輝線が強い銀河系中心、オリオン座分子雲等の限られた領域を6'間隔の観測点計約1000点で実際に観測して、データ取得が正しく出来ることを確認した。データを実際に解析して、分子雲中のガス運動温度分布についての結果を出した。そしてその結果に関して、日本国内でCOJ=2-1輝線(波長1mm)やCII領域(赤外線)などの他の波長で銀河面サーベイを行っている東京大学、宇宙研、名古屋大学等の研究者と共にいくつかの分子雲の結果についての議論を行った。
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