研究課題/領域番号 |
06640578
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
椚座 圭太郎 富山大学, 教育学部, 助教授 (30225180)
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研究分担者 |
後藤 篤 姫路工業大学, 理学部, 助手 (50211917)
相馬 恒雄 富山大学, 教育学部, 教授 (40019039)
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キーワード | 飛騨外縁帯 / 放射年代 / 結晶片岩 / メランジェ / 三郡帯 / 高圧型変成帯 / テクトンクス |
研究概要 |
青海地域の3億年の年代を示す泥質結晶片岩から4.5億年とされるガ-ネット角閃岩ブロックが見いだされ、変成帯の上昇機構の解明のため、両者およびその境界層の熱履歴を解析した。角閃岩ブロック周辺の緑色片岩は、周囲の泥質片岩の平衡温度よりも高温を示す角閃岩やガ-ネットを含み、それらには角閃岩に由来するものが含まれることが明らかになった。3億年変成岩の上昇の時、上盤にあった古いナップの一部を取り込み、上昇の過程でそれらが後退的に緑色片岩になった。 飛騨外縁帯の多様性と上昇テクトニクスを調べるため、結晶片岩類の岩石学的性質・変成年代の比較検討を行った。飛騨外縁帯の結晶片岩は、青海地域では蛇紋岩メランジェ中のブロック、白馬地域は堆積性メランジェ中のブロック、蒲田地域および伊勢地域は中生代手取層中のオリストリスとして産する。各地域から得られた計13個の泥質結晶片岩類の白雲母によるK-Ar年代測定を行った。年代は、青海の3.8億年、3.4億年を除いて、2.8-3.2億年の間に入り、多様な産状にも関わらず本来1つの変成帯であることがわかり、近年、古生物学的見地から提唱されている飛騨外縁帯の2分論は否定される。また外縁帯の西方延長とされる三郡変成帯は3億年と2億年変成岩からなるが、外縁岩では2億年相当の結晶片岩は見いだされなかった。青海地域の古い変成岩は、角閃岩ブロックと同様に古い変成岩が後退変成作用を被った可能性がある。 最終年度であるので、以下のことについて論じ、研究成果報告書を作製した。 ・青海結晶片岩類の岩石学的性質と変成年代:コヒーレントな蛇紋岩メランジェの上昇 ・飛騨外縁帯蒲田地域の地質と岩石:空山メランジェの提唱 ・飛騨外縁結晶片岩類の岩石学的性質と変成年代 ・3億年結晶片岩と4.5億年角閃岩の混合による緑色片岩の形成 ・結晶片岩の全岩組成のゆらぎについて
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