研究概要 |
1.糖骨格上に導入した2‐メチル‐2‐プロペニル基の不斉ヒドロボレーション-酸化:メチル4,6‐O‐ベンジリデン‐3‐O‐ベンジル‐2‐デオキシ‐2‐C‐(2‐メチル‐2‐プロペニル)‐α‐D‐アルトロピラノシド(1a),‐イドピラノシド(1b)およびメチル5,6‐O‐シクロヘキシリデン‐3‐デオキシ‐3‐C‐(2‐メチル‐2‐プロペニル)‐β‐D‐アラビノヘキソフラノシド(1c)を合成し、これらの側鎖のプロキラルな末端二重結合をBH_3・SMe_2および4,8‐位に嵩高い置換基をもつ各種のジベンゾジオキサボレピン誘導体(2)を用いてヒドロボレーションした後酸化した。いずれの場合も、側鎖に新しく生成した不斉中心に基づく2種のジアステレオマ-が生成したが、ピラノシド1aおよび1bのヒドロボレーションでは、ボラン試薬2の嵩高い置換基は選択性に殆ど影響を与えないことが分かった(選択性は、1aのヒドロボレーションで7.4〜13.0%de;1bのヒドロボレーションで6.5〜13.0%de)。 一方、1cのヒドロボレーション-酸化では、BH_3・SMe_2(in CH_2Cl_2;21%de)、BH_3・SMe_2(in THF;37%de)、(Sia)_2BH(in ether;33%de)および(Ipc)_2BH(THF;39‐45%de)を用いた場合、それぞれ( )内に示した選択性が得られた。さらに、2の4,8‐位にt‐ブチル基を導入したボラン試薬を用いたときには、選択性は62%deに達し、ボラン試薬の嵩高さと選択性の間に相関が認められた。 2.カルボマイシンBのC1〜C9フラグメントの合成:メチル5,6‐O‐シクロヘキシリデン‐2,3‐ジデオキシ‐3‐C‐(2‐メチル‐2‐プロペニル)‐β‐D‐アラビノヘキソフラノシドを上に述べた反応系でヒドロボレーション-酸化したあと官能基変換して、[2S,3R,3(2R),5R]‐2‐ホルミル‐3‐(2‐メチル‐3‐ピバロイルオキシプロピル)‐5‐メトキシオキソラン(3)を合成した。引き続き、3のホルミル基の反応性を利用して、カルボマイシンBのC1〜C9フラグメントと等価な化合物を合成した。但し、カルボマイシンBの3位と4位に相当する位置の絶対配置はまだ決定できていない。
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