研究概要 |
衝撃による工具過渡振動の減衰と工具損傷との相関性を利用する工具損傷監視方法は,従来,衝撃の大きさを一定不変に制御することが困難なため監視精度が充分でなく,また相関関係の根拠も明かではなかった.本研究は,衝撃発生機構および計測系を改良して計測精度の向上をはかるとともに,旋盤外丸加工を対象に,工具損傷と過渡振動との相関関係を詳細に研究して,現象のメカニズムの解明をはかり,工具損傷のインプロセス監視方法の確立に寄与しようとするものである. 本年度はまず,前年度に引きつづき基準の診断パルスを与えた工具および工具台の振動特性を詳細に分析した.さらに,主として鋳鉄FC20について種々の切削条件で切削実験を行い,診断パルス(衝撃)による過渡振動と工具損傷との関係を実験的に研究した.その結果,切削中の工具の診断パルスによる振動加速度やその減衰と逃げ面摩耗との相関関係を明らかにするとともに,その分散についてのデータを収集した.また前年度試作した工具台付属型の小形電磁式衝撃発生機構の特性を実験的に調べ診断パルスが不安定となる原因をつきとめ,その対応策を明らかにした.さらに,この欠点を克服するため,改良型の試作を行い,その特性を調べた. 以上のように,当初の研究計画に基づき,ほぼ,計画どおり進行した.その成果の一部は精密工学会において報告した.今年度は終了年度であるので、前年度の成果を含め,研究成果報告書にまとめた.
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