本年度の研究は次の事項を実施した。 (1)追悼空間の自治体における整備方針に関する動向調査 現代の追悼空間に関して、その傾向を端的に表現していると考えられる事例を収集分析した。東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、大宮市について、追悼空間を代表する墓地関係に焦点を絞り、その規模、整備の背景、墓地需要予測、霊園問題調査会など墓地問題対策の検討内容を分析した。 (2)追悼空間への民間団体の意向に関する動向調査 葬送の自由をすすめる会、もやいの会などの市民運動や民間団体の運動など、顕著な動きに関心をはらった。それらの活動の狙いや、造ろうとしている埋葬や慰霊施設の在り方やその施設に対する課題をそれらの運動体の発行する文書や主催者へのヒャリングなどを通して分析した。 (3)市民グループの追悼空間整備運動追跡調査 追悼空間整備要求が市民段階でも現れ始めて来た。ここでは、山梨県東八代郡の青年会議所が「まちづくり」運動の一環として行った火葬場設置活動を追跡した。研究者への参加要請を受け施設整備のハード面での協力の実績を持つ。「夢ある葬祭場づくり」をスローガンに「まちづくりデザイン会議」に参加した。 (4)追悼空間の一般市民の意識調査への準備 これまでの成果から、都市での追悼空間についての予想を15の項目に整理抽出した。それぞれについて、その意義、妥当性、実現性、本人の選択度合、親の対応に分けて回答を求めるアンケートを作成した。予備的な調査を実施している。
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