研究概要 |
粒子強化材料の耐熱合金概念を構築する基礎資料を得る目的で研究を行い、以下の成果を得た。 1.しきい現象:粒子強化材料である応力に近づくとクリープ速度が急激に低下する。このしきい現象が粒子強化の重要な機構あり,しきい現象が如何なる応力で出現するかが合金設計では重要である。Al_6Mn析出粒子を含むAl合金を用いたクリープ試験の結果,次のことが分った。クリープ速度が急激に低下する応力より上ではクリープ中に転位の増殖が起きるが下では増殖せず、この応力はオロワン応力に相当する。したがってオロワン応力の高い材料が強化に有利である。 2.粒界すべり影響:粒子強化材料は押出し方向に長く伸びた結晶粒組織を持つことが多い。粒界すべりは重要な高温変形機構であり、ひずみに対する粒界すべりの寄与が結晶粒形状比によって変化するため,結晶粒が長く伸びた材料(形状比大)は高い高温強度が期待される。粒界すべりの容易さが異なる材料を用いて粒界すべりの容易さの効果を検討し次のことが分った。粒界すべりが困難であるとクリープ速度が低下する。この低下は低応力ほど大きく,粒界すべりが困難なであるとしきい現象が高応力で出現する。したがって粒界すべりが困難な結晶粒組織を持つことも合金設計で重要である。 3.3次クリープ:高温変形中には組織弱化が無視できず,材料は3次クリープ→破壊へと進行する。そのため,しきい現象に伴う低いクリープ速度を保には3次クリープの抑制が重要である。クリープ曲線解析に基づいて3次クリープ挙動を検討した結果,3次クリープは粒子の凝集粗大化に起因し拡散律速であること,粒界すべりの容易さは3次クリープ挙動に影響を及ぼさないことが明らかになった。
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