1.リンゴ樹の栄養状態が果実の着色に及ぼす影響について、樹への剥皮及び剥皮逆接ぎによって検討した。これらの処理は、処理下部の幹の肥大成長を抑制したが、新梢成長には大きな影響が認められなかった。処理後、約1カ月後には葉のクロロフィル含量は顕著に減少した。処理樹の果実は明らかに着色が早く、地色の退色が早かった。処理によって果実硬度はやや増加し、可溶性固形物含量は著しく増加した。酸含量も僅かに増加した。これらのことから、これらの処理は特に根の活性に大きく影響を及ぼし、それが果実品質に影響が大きいことが推察された。 2.リンゴ果実におけるアントシアニンの蓄積を詳細に解析するために、液体クロマトグラフィーによる分析について検討した。従来から用いられてきた1%塩酸メタノールによる抽出では、アントシアニンの一部が変成している可能性が示唆された。3%トリフルオロ酢酸による抽出では良く分離したクロマトパターンが得られた。この方法を用いて、‘ふじ'及び‘つがる'の枝変わり品種を用いてそのアントシアニン生成の特性とアントシアニンの組成について検討した。両枝変わり品種にはアントシアニンの組成には違いは認められなかった。種々の条件で光照射を行った結果、着色系枝変わり品種は、それらの条件に関わらずアントシアニン生成量が多かった。
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