研究概要 |
1)キラートキシン耐性遺伝子(HKR1)の構造の決定:本遺伝子はSaccharomyces cerevisiaeのゲノム上にシングルコピーで存在し、5406塩基対からなる。本遺伝子産物は1802個のアミノ酸、分子量189kDaのタンパク質と考えられる。推定アミノ酸配列から、N末端側には、シグナル配列、C末端側には膜貫通領域と考えられる疎水性の高い配列が認められた。また本タンパク質のアミノ酸組成で、セリン、スレオニンが36%を占め、O-グリコシド型糖鎖付加の可能性が考えられる。さらに8箇所のアスパラギン結合型糖鎖付加部位も見いだされ、本遺伝子産物は酵母細胞壁に存在し、高度に糖鎖修飾をうけているものと思われる 2)HKR1の必須性の検討:HKR1のコード領域のKpnI-Xba断片をLEU2で置換した酵母のテトラッド分析をした結果、致死の表現型を示したことにより、HKR1はS.cerevisiaeの成育に必須であることが確認された。 3)HKR1過剰発現のS.cerevisiaeに対する効果:HKR1の全長およびC末端側の配列をガラクトースにより誘導されるプロモーターGAL1あるいはGAL7の下流につないで、誘導発現を行い、キラートキシン耐性効果はHKR1のC末端側の配列が機能していることが示された。C端末側配列の発現により、β-1,3-グルカン合成酵素活性の低下が見られた。
|