これまでイネファイトアレキシン生成・蓄積において最も強いエリシター活性を示すのは塩化銅であったが、われわれは脂肪酸代謝産物であるジャスモン酸が塩化銅を上回るエリシター活性を死すことを明らかにした。ジャスモン酸の生合成を阻害すると考えられているリポキシゲナーゼインヒビターは塩化銅のエリシター活性を阻害するが、ジャスモン酸のエリシター活性あ阻害せず、またジャスモン酸のエリシター活性は蛋白質合成阻害剤のシクロヘキシイミドによって阻害された。イネに塩化銅処理するとジャスモン酸が短時間の内に誘導され、ジャスモン酸の誘導とファイトアレキシン生成との間には密接な相関が認められた。また、病害抵抗性を示すイネは罹病性を示すイネに比較し、ジャスモン酸の生成量が多かった。 以上の結果は、ジャスモン酸がファイトアレキシンのシグナル伝達物質として作用しており、病害抵抗性に深く関わっていることを示唆している。
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