1.ウレアーゼ遺伝子群のクローン化と関連遺伝子の機能 形質転換能が高く発育のよい臨床分離株から16kbのウレアーゼ遺伝子群領域をクローン化し、大腸菌で活性ウレアーゼを産生することを確認した。ウレアーゼ関連遺伝子のうちH.pyloriに固有の遺伝子であるureIにKm耐性遺伝子を挿入したプラスミドをH.pyloriに電気穿孔法で導入し、ureI遺伝子破壊変異菌を作成した。この変異株は活性酵素は産生しないがアポ酵素を産生することから、本遺伝子が酵素の活性化に関与することが推定された。 2.H.pyloriの尿素と炭酸水素イオンに対する走化性 本菌が尿素、ウレアーゼ阻害剤に対して走化性を示すこと、ウレアーゼ欠損株でも程度は低いが走化性が見られることを見出した。さらに本菌は炭酸水素イオンに対しても走化性を持つことが示された。これらの走化性が初期感染時のみでなく、持続感染に大きな意義を持つことが推測された。
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