研究概要 |
1.材料と方法: (1)食道癌をはじめとする6種類の扁平上皮癌細胞株、および食道癌の内視鏡生検材料を用いた。 (2)GST-π、mdr-1、MT-IIAに対するPCRプライマーを作製した。 (3)制癌剤に対する感受性試験はMTTアッセイを用いた。 (4)遺伝子発現量の定量はNorthern blot法とRT-PCR法を用いた。 2.結果: (1)癌細胞と臨床組織より得られたtotal RNAに対して、RT-PCR法を行い、GST-π、mdr-1、MT-IIAに対応する435bp,290bp,179bpの大きさのPCR産物が得られた。これらは、プライマーの設計時に予想した大きさであった。 (2)PCR産物と至適PCRサイクル数をそれぞれのプライマーについて求めた。 (3)癌細胞株のCDDP耐性は、GST-π、MT-IIAのmRNAレベルと、ADM耐性はMT-IIAのmRNAレベルと正の相関を示した。 (4)ヒト食道癌組織中のmdr-1mRNAレベルは正常粘膜に比べて高く、逆にGST-π、MT-IIAのmRNAレベルは低い傾向にあった。 (5)食道癌組織中のMT-IIAのmRNAレベルは、CDDPによる増殖抑制率と負に相関する傾向にあった。
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