研究課題/領域番号 |
06671389
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大西 丘倫 大阪大学, 医学部, 助手 (70233210)
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研究分担者 |
斉藤 洋一 大阪大学, 医学部, 助手 (20252661)
平賀 章壽 大阪大学, 医学部, 助手 (40243232)
早川 徹 大阪大学, 医学部, 教授 (20135700)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | 脳腫瘍 / 悪性グリオーマ / 腫瘍浸潤 / 運動性因子 / 細胞接着 |
研究概要 |
悪性グリオーマの腫瘍浸潤機序を解明し、新しい治療法を確立するために、グリオーマ細胞の運動性と細胞接着に焦点を絞り、グリオーマ運動性因子(GMF)の構造解析と腫瘍浸潤における生物学的意義について検討を行った。グリオーマ運動性因子は、ヒトグリオーマ細胞T98Gより精製したものを用いた。2種のグリオーマ運動性因子(GMF-I、GMF-II)の部分構造解析により、GMF-I、-IIは共にヒトフィブロネクチンのIII型モジュールのアミノ酸配列と一部相同性を示すことが明らかとなった。このモジュール内に存在し、選択的スプライシングを受けるED領域の発現について検討した結果、GMF-IとGMF-IIはその発現パターンが異なっていた。ED-Bのみを発現していたGMF-Iは、ED-A、ED-B共に発現していたGMF-IIに比べ、T98Gグリオーマ細胞において5-10倍高い運動活性を示した。一方、接着活性については両者に差は見られなかった。T98G細胞以外の種々のグリオーマ細胞や不死化グリア細胞においてもGMF-IはGMF-IIより、高い運動活性を示し、ED領域のスプライシングの違いが運動活性に影響を与えることが示唆された。マトリゲルを用いたin vitro invasion assayではGMFの添加によりT98Gグリオーマ細胞の浸潤性の亢進が見られた。一方、ラットグリオーマ脳内移植モデルにおいて、グリオーマ細胞とGMFとの共存はグリオーマ細胞単独に比べ、著明なグリオーマ細胞の移動を促進させた。また、抗ED-B抗体とGMF共存下では、腫瘍細胞の移動が抑制された。以上より、GMFがin vitroのみならず、in vivoにおいてもグリオーマ細胞の浸潤に重要な役割を演じていることが示唆された。
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