研究課題
一般研究(C)
小児の痛みに関する文献及び研究者らによる先行研究の結果や臨床経験に基づき、研究計画や研究方法についての詳細な検討を行い、まず小児の痛みへの対処行動を把握するのに必要なチェックリストや面接ガイド等を作成した。千葉大学医学部附属病院小児科外来にて、自作のチェックリストを用いて、幼児から学童を対象に採血時の小児の痛みに対する対処行動を観察した。その結果、採血時の痛みは急性かつ単発的なものであるため、学童特に高学年では行動にほとんど変化が見られず、観察による把握は困難であること、また処置室内の状況は特殊であるため、処置中のみならず、小児が処置があることを知った時点から処置中、処置後を通しての継続的な観察が必要であり、さらに痛みに対するふだんの小児の反応などの情報も必要であることが再確認された。そこで、言葉での表現が充分でない幼児で、行動観察において反応や行動が最も多彩であった3、4歳児に対象をしぼり、第1段階の調査後に修正を加えたチェックリストを用いての処置中の小児の行動観察、処置前後の小児の経時的な行動観察、および小児の過去の痛み体験や痛みに対するふだんの反応・行動およびその時の親自身の対応等についての親への面接調査を計画した。さらに処置中の行動観察については、データの信頼性を高めるためビデオテープに録画することを計画しており、現在、調査協力施設の外来スタッフと共にその効果的な実施方法について検討中である。今後調査を進め、幼児の痛みに対する対処行動の特徴を明らかにするとともに、小児の対処行動に影響を与える要因について明らかにしていきたいと考えている。