研究課題
痛みを伴う処置を受ける小児の行動観察を行うことを目的として、昨年度に作成したチェックリストを用いて外来での採決場面を観察したところ、採血という短時間の処置における小児の反応の変化は把握できるが、対処行動を把握するには不十分であることが明らかになった。そこで研究分担者や研究強力者とともに、さらに文献検討を重ね、幼児の痛みに対する対処行動を把握する方法として、Ritchieらが開発したThe Children's Coping Strategies Checklist-Intrusive Procedure(CCSC-IP)を参考に、昨年度の予備検査の結果を加えて、新たにチェックリストを作成した。平成7年6月から9月に、千葉大学医学部付属病院小児科外来を受診した2歳以上6歳までの就学前幼児とその母親を対象として、調査を行った。母親に対しては対象児の過去の痛み経験と痛みに対する普段の対処行動及び母親のかかわり方、また痛みを伴う処置を受ける際に、母親が小児自身や医療者に望む行動などに関するアンケート調査を実施し、62名の母親より回答を得た。さらにその中で採血が指示された小児に対しては、新たに作成したチェックリストを用いて処置室内での行動観察を行い、28名のべ33場面のデータを得た。分析の結果、小児の年齢や母親からの情報による小児の過去の痛み体験や対処行動により、処置室内での小児の行動や看護援助の方向性がある程度予測できることがわかった。今後はさらに病棟等においても調査を実施してデータ数を増やし、幼児の痛みに対する対処行動の特徴を明らかにするとともに、それらに影響を与えている要因についても明らかにしていきたい。