研究概要 |
小学校,中学校及び高等学校の数学の教科書について,用語と文体についての調査研究を行った.ただし,本年度は,高校に関しては新学習指導要領による教育の初年度なので,高校の教科書に関しての調査は1年生の教科書だけとなった. 1.用語について.高校については,指導内容の変更に伴い,多くの新しい用語の使用が見られた.次年度にも新語が収集されるはずなので,分析はすべて次年度にまわすことにした. 2.数学概念について.教科書の中に定義が与えられていない数学概念を多数発見した.それらは, (1)点,直線,等のように,本来,原始的概念であるもの (2)「比例している」という動詞概念は定義されているが,「比例」という名詞概念は定義されずに,一人歩きさせられているもの (3)極限,収束のような,本来,非常に複雑な概念が簡略定義ですまされているもの などのように分類され,収集されている.これらの概念について,指導上の問題点,指導の改善法,等についての研究は次年度の課題とした. 3.文体の研究について.定義文の文体そのものは比較的に単純であるように観察された.とくに,単文の使用が目立つようだった.ただ,その単純性が教育上プラスとなっているのかどうかについてに実験的な考察は今後の問題とした. 次年度は,収集範囲を高校3年生までひろげたい.また,定義法について,提言をまとめたい.
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