研究概要 |
東北大学歯学部矯正科に来院している患者の中から,思春期性成長ピークを過ぎた思春期後期にあり,成長観察下にあるSkeletal Class IおよびClass IIIの女子それぞれ25名を選択し,頭部X線規格写真,手部X線写真,身長計測に加えて,骨代謝マーカーの測定を目的として採血を行った.なお,Class IIIについては顎矯正外科治療を前提とした成長観察症例を被検者とした.本年度測定を行った骨代謝マーカー(ホルモン)は,オステオカルシン(OC),Insulin-like growth factor I(IGF-I),成長ホルモン(HG),プロコラーゲンIIIペプタイド(PIIIP)などである.当初計測を計画していた骨代謝マーカーのうち,I型プロコラーゲンC末端プロペプタイド(PICP)とI型コラーゲンcross-linked carboxyterminal telopeptide(ICTP)については測定キットが入手困難であったため,測定が行えなかった.手部X線写真については骨塩量の測定を行った.現在,尿中ピリジノリン(Pyr)および尿中デオキシピリジノリン(D-Pyr)の測定も開始した. 本年度に得られた知見は,以下の通りである. 1.各マーカーの思春期後期の基準値が求められた. 2.顔面形態による骨代謝マーカー測定値に明らかな差異は認められなかった. 3.OCとPIIIPは下顎骨成長ポテンシャルをよく反映した指標になりうることが示唆された.
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