研究概要 |
開発途上国では下水処理施設の設置が急務である。しかしながら途上国の劣悪な水域環境を修復するために、先進国で用いられている活性汚泥法を導入する事は経済かつ技術的問題から困難である。そこで途上国地域でも適用可能な低コストで維持管理が容易な下水処理システムとして、UASBと懸垂型スポンジ(DHS)リアクターを組み合わせたシステムを提案し研究を行った。UASB+DHSシステムは卓越した処理能力を示したが、これまでに同条件の排水を処理している既存のシステム(活性汚泥法)との処理能力を比較し有機物及び病原性細菌等の除去メカニズムを評価したことはない。そこで本研究では、UASBと次世代型DHS(G5)リアクターを組み合わせたシステムで実下水を処理すると共に、ほぼ同じ排水条件で運転されていた活性汚泥法と処理能力を比較する事にした。本UASB+DHSシステムの処理水質は、活性汚泥法と比べると若干劣るものの、開発途上国の水質基準を十分に満足しうるものであった。またエアレーションが不要な上、余剰汚泥の発生量も大幅に削減されるため、活性汚泥法に比べて、大幅にコストを削減できると考えられる。この研究に関した論文はWater Research(2007)に掲載されている。 又、DHSリアクターの窒素除去法としての適用を目指し,高アンモニア濃度の人工排水を用いて,その硝化能力の検討も行った。パイロットスケールのDHSは東北大学の実験室内に設置し高濃度のアンモニアを含まれた人口廃水を用い連続運転とそのモニタリングを行った。現段階では0.75kg-m^<-3>.d^<-1>までの窒素負荷を達成出来ているが目標は3-50.75kg・m^<-3>.d^<-1>までの窒素負荷である。目的を達成すれば無曝気・高負荷可能な硝化プロセスの開発に成功する。今までの研究成果は9月に行われる第62回土木学会全国大会に発表するため原稿を提出済みである。
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