研究概要 |
1)選択的プロゲステロン受容体モデュレーターasoprisnilの添加で培養筋腫細胞のp-PERK、p-eIF2α、ATF4、GRP78、GRP94、GADD153、およびubiquitin蛋白発現が有意に増加した。GADD153のRNA interferenceにより、asoprisnil添加後のPARP、Bax、Bak、GADD34およびTRB3発現が減少したが、Bcl-2発現が増加した。以上より、asoprisnilは培養筋腫細胞に小胞体ストレスを惹起してアポトーシスを誘導することを明らかにした。 2)プロゲステロンのヒトトロホブラスト由来HTR-8/SV neo cell lineに及ぼすアポトーシス誘導を検討した。HTR-8/SV neo cellsにプロゲステロン受容体が存在することを示した。プロゲステロンの添加によりTUNEL陽性細胞率、Fas,Fas ligand (Fas-L),caspase-8,caspase-3、PARP発現が有意に減少し、一方Bc1-2蛋白発現が有意に増加することを明らかにした。以上より、プロゲステロンはHTR-8/SV neo cellsのアポトーシスを抑制する作用を有することが推測された。 3)プロゲステロン受容体モデュレーターCDB-2914の添加により培養筋腫細胞でのEMMPRINとMMP発現が有意に増加したが、一方TIMP-1、TIMP-2、I型およびIII型collagen発現が有意に減少した。培養筋腫細胞にEMMPRINに特異的なsmall interfering RNAを導入すると、培養液中のMMP発現が抑制されたが、TIMPとcollagen発現が増加した。 以上より、CDB-2914は細胞外基質蛋白発現とその放出に影響を与えることによって子宮筋腫発育を抑制している可能性が推測された。
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