研究課題/領域番号 |
06F06716
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
上田 正仁 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授
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研究分担者 |
DICKERSCHEID Dennis 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 冷却原子 / ボース・アインシュタイン凝縮 / ダイポール相互作用 / フェルミ対凝縮 |
研究概要 |
当該研究期間において冷却原子に関する二つの研究を行った。 一つは、BECにおけるダイポール相互作用の効果を研究するための第一歩として、調和振動子に閉じ込められた2粒子がダイポール相互作用する問題を研究した。ダイポール相互作用は長距離かつ非等方的であるために、多体効果としてもこれまで知られていない物理現象が期待できるということがこの問題の研究の動機である。これまでのところ、上記の長距離および非等方性のために、2体問題を解く上で数値上の収束性の悪さなど様々な困難に直面しており、未だ問題の解決には至っていない。 二番目の問題として、異核子原子間のペアリングによる超流動性の問題に取り組んだ。この問題は、様々な同位体を持つYb原子の冷却の成功やK原子の冷却実験の進展に鑑みて将来性に富む問題である。このテーマの物理的な興味は、同位体原子が様々な核スピンあるいは超微細スピンを持つために内部自由度に由来した多様なペアリングが期待できることにある。これまでのところ、基本的なハミルトニアンの構成および弱結合極限でのギャップ方程式を解き、いくつかの励起スペクトルを求めることに成功した。1/2よりも高いスピンを持った異核子ペアリングはこれまであまり研究されてこなかったテーマであるが、最近の冷却原子の実験的進展により、今後、多くの知見が得られるものと期待される。この問題に関しては、一定の成果が得られたので、現在、論文化の作業を行っている。
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