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2007 年度 実績報告書

条件節・譲歩節とトートロジーの解釈スキーマ

研究課題

研究課題/領域番号 06J05930
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

酒井 智宏  慶應義塾大学, 文学部, 特別研究員(PD)

キーワード並列型トートロジー / 差異否定型トートロジー / 矛盾文 / 条件文 / メンタル・スペース理論 / マッチング
研究概要

本年度の成果は次の2点である。
第一に、並列型トートロジー「XはX、YはYだ」(「シロはシロ、タマはタマだ」)の解釈を定式化した。並列型トートロジーは、X/YをそれぞれX/Yと結合する恒真的同一性コネクターを断定し、XとYがともにカテゴリーW(例えば「猫」)に属するという事実の関連性を否定する。これにより、「XもYもカテゴリーWのメンバーだ」)という前提に基づく「XとYを同様に扱うべきだ」という推論を却下する働きを持つ。この分析は一見グライス流のアプローチと類似しているが、先行研究とは異なり、発話という音声現象に代えてコネクターの使用という認知概念に依拠する点に特徴がある。これにより、並列型トートロジーの解釈と説明拒否トートロジーの解釈を同一の原理で説明することができる。
第二に、条件節を伴う矛盾文「PならばXはXではない」(「猫はねずみを取らなければ猫ではない」)が持つA.属性Pを持つXをXとして扱うのをやめるべきだ(特定のXに関する処遇)、B.属性Pを持つXが属性¬Pを持つようになることが望ましい(特定のXのあるべき姿)、C.一般にXは属性¬Pを持つものだ(カテゴリーXの定義)、という三種類の伝達情報を矛盾文と条件文の解釈スキーマの合成により導出した。「PならばXはXではない」は条件文「PならばQ」の一種であると同時に矛盾文「XはXでない」の一種であり、双方から属性を継承する。これにより、一切の補助仮定なしに、情報Aが肯定式に基づく推論であり、情報Bが条件文の推移性に基づく推論であり、情報Cが条件文の原因命題に関する推論であることが示される。また、このことから、これらの情報を矛盾文の意味論に組み込む分析は誤りであると結論できる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 並列型トートロジーの解釈スキーマ2007

    • 著者名/発表者名
      酒井 智宏
    • 雑誌名

      KLS 25

      ページ: 87-97

  • [雑誌論文] マッチングと矛盾文の伝達情報2007

    • 著者名/発表者名
      酒井 智宏
    • 雑誌名

      日本認知言語学会論文集 7

      ページ: 427-437

  • [学会発表] トートロジーにおける事実的解釈とメタ言語的解釈2007

    • 著者名/発表者名
      酒井 智宏
    • 学会等名
      日本フランス語フランス文学会2007年度秋季大会
    • 発表場所
      関西大学
    • 年月日
      2007-11-11
  • [学会発表] マッチングとトートロジーの伝達情報2007

    • 著者名/発表者名
      酒井 智宏
    • 学会等名
      日本認知言語学会第8回全国大会
    • 発表場所
      成蹊大学
    • 年月日
      2007-09-23
  • [学会発表] La construction du sens: le cas des enonces tautologiques du type X est X2007

    • 著者名/発表者名
      Sakai, Tomohiro
    • 学会等名
      フランス認知言語学会第2回国際会議
    • 発表場所
      フランス・リール第3大学
    • 年月日
      2007-05-12

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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