これまでにLPSシグナルにおいてJak2-Stat5がIL-6の産生に関与しており、SOCS-1はJak2-Stat5を抑制することでLPSシグナルを直接的に制御していることが示された。しかしながらJak2-Stat5がLPSによるIL-6の産生機構にどのように関与しているかは明らかにされていなかった。そこで今回まずLPSによるIL-6の産生におけるStat5の作用機構について解析を進めたところ、LPSシグナルにおいてIL-6の産生を誘導させるIκBζ-p50の複合体とStat5が結合していることが明らかになった。さらにLPS刺激によりIL-6のプロモーター領域にStat5が結合することも示され、LPSにより活性化されたStat5はIκBζ-p50と複合体を形成することでIL-6の産生に関与していることが解明された。生体内におけるLPSシグナルにおけるStat5の作用機構を明らかにするために作製しているStat5のマクロファージ特異的なconditional KOマウスもほぼ完了しており現在このマウスの解析を進めているところである。またLPSによってStat5以外にもStat1やStat3が直接的に活性化されることが明らかとなった。このStatlやStat3がLPSシグナルにおいてどのような作用機構を示すのかを解明するために、Stat1 KOマウスおよびStat3 conditional KOマウスを用いて解析を行っている。さらにLPSによりSOCS-1が誘導されることは報告されているが、今回Glucocorticoid Receptor(GR)のリガンドであるdexamethasone(Dex)とLPSの共刺激によりSOCS-1の発現が促進されることが示された。これまでDexはLPSによるIL-6などの炎症性サイトカインの産生を抑制することが報告されているが、その作用機構としてDexがサイトカインシグナルの負の制御因子であるSOCS-1の発現を制御することでLPSによる炎症性サイトカイン産生の抑制における原因の一つであることが考えられた。
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