研究分担者 |
茅野 甚治郎 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (40163729)
佐々木 市夫 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (70125384)
近藤 巧 北海道大学, 農学部, 助手 (40178413)
長南 史男 北海道大学, 農学部, 助教授 (00113697)
黒河 功 北海道大学, 農学部, 教授 (90125310)
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研究概要 |
初年度はカトマンズ盆地の自然流下式潅漑による稲作を主として調査した。ケーススタディはカトマンズの東方20kmのサク-村である。ここではカトマンズ市場に近接しているため,潅漑施設は主として馬鈴薯と野菜の商品生産に利用している。 次年度はインド国境に近いタライ平原の管井戸による潅漑の現状を調査した。この地域への日本からの援助は20年以前に終了し,その後はネパール政府の管理下にある。農家にとって深井戸の利用はディーゼル燃料が高価であること,共同利用上の管理の不十分であることが障害となって低い利用率にとどまっている。これに対して,個別農家単位で利用する浅井戸は小麦生産によく利用されている。 日本のジャイカを通じての援助は,多額な投資を要する地下百メートル以上の深部の地下水をくみ上げる深井戸を主に,かつ乾季の稲作を期待したものであった。しかし,移管後は簡単な浅井戸によって,少量の潅漑水を追加することで飛躍的な増産が可能な乾季の小麦作に大部分が利用されている。 技術援助は,純粋な技術指導だけではなく,援助対象地域の土地所有制度や技術導入が農民にとってどの程度の費用負担を要するものかについて分析する必要がある。 最終年度は,両地域の細く調査をおこなった。サク-村の不在地主制度,ジャナクプルでの最貧層をなすインドから不法入国した土地なし農民が生存水準での無制限労働供給源となっていることが特徴的である。
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