研究課題/領域番号 |
07041051
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
赤阪 賢 富山大学, 人文学部, 教授 (60099231)
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研究分担者 |
末原 達郎 富山大学, 人文学部, 助教授 (00179102)
竹沢 尚一郎 九州大学, 文学部, 助教授 (10183063)
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キーワード | 市場経済 / 消費的文化 / 文化変化 / マリ / ギニア / タンザニア / 経済自由化 / 複合的生産構造 |
研究概要 |
本研究は、現代アフリカ農村が直面している激動的状況を、市場経済の浸透と消費的文化の蔓延に起因する文化変化の両面から解明するため計画された。調査対象国としてマリ共和国、ギニア共和国、タンザニア共和国の三ケ国をえらんだ。計画の初年度の平成7年度には、まずアフリカ農村社会に恒常的な農業および非農業の複合的な生産構造の実態の把握を目指した。また、経済自由化政策の下で商業的農業をはじめとする現金収入の方策を求める行動に着目し資料の収集に努めた。マリ国ではバマコおよびブグニ周辺地域で都市化の影響下で進展しつつある農産物、薪炭等の商品化の実態調査をした。ここでは計量的データの収集をもくろみ、複数の村落でアンケート調査をこころみたが調査項目の設定や村落等の抽出方法にかんして若干の課題を残した。タンザニア国では、モロゴロ地域とモシ地域において市場経済化の進展の過程にかんする資料を収集した。構造調整政策にともなう政治経済的変動が激しい状況で、地方における小売商と卸売商の役割が市場経済化の表舞台に登場しつつある実態を把握した。ギニア国では、カンカン周辺地域における伝統的な水稲耕作が商業的農業に展開する過程についての資料を収集した。海岸部のボケ地域においては、漁業を中心とした複合的な生産構造をもつ漁村における、近年の市場経済化の進展過程にかんする資料収集につとめた。今回、地域調査の対象とした三ケ国のあいだでは市場経済の浸透の度合いに相違がみとめられたが、何れの国も独立以後の一定の期間、社会主義的な政策を選択した結果、農村社会においても集団主義的な生産・流通の施策がとられた経緯がある。近年、経済自由化の政策が導入された結果、これらの農村では急速に生産・流通における商業化と生活面における消費的文化の浸透が進展している実態が明白になったが、それが当該農村社会における文化変化にどのような影響を及ぼし、いかなる方向へ進めるかについては、次年度以降の研究の課題にしたい。
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