研究分担者 |
STEWART Jon The University of Florida, Dept. of Chemis, Assistant
BENKOVIC Ste The Pennsylvania State University Dept., Professor
松永 司 金沢大学, 薬学部, 助教授 (60192340)
小松 康雄 北海道大学, 薬学部, 助手 (30271670)
森岡 弘志 北海道大学, 薬学部, 助手 (20230097)
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研究概要 |
本研究者の代表者らは,DNAに紫外線が照射された場合に最も多く生じるシクロブタン型チミンダイマーや(6-4)光産物およびそのDewar型異性体等のDNA損傷を特異的に認識するモノクローナル抗体の抗原識別機構の解析を目的とした研究を行っている.抗原となる紫外線損傷を含むオリゴヌクレオチドは化学的に合成し,抗体は抗原認識の最小単位である可変領域をフレキシブルペプチドで連結させた一本鎖抗体(scFv)を遺伝子工学的に改変して用いている.以下に本年度得られた新しい知見等の成果を示す. (1)紫外線損傷塩基(チミンダイマーまたは(6-4)光産物)を含むダイマーユニットの合成を行い,これらを用いて鎖長2〜8merのDNAフラグメントを得た.各オリゴヌクレオチドの3´末端には,(2)の結合実験に抗原として用いるために必要なビオチン残基をアルキルリンカ一を介して結合させた. (2)ハイブリドーマ細胞より調製されたシクロブタン型チミンダイマーあるいは(6-4)光産物認識Fab抗体,および大腸菌により調製されたそれぞれのscFv抗体の結合反応速度定数をバイオセンサー(BIAcore)を用いて速度論的に解析した。その結果,両組換え型scFv抗体は天然型のFab抗体と同様の抗原結合特性を示すことが明らかなった.また,塩濃度変化の実験から,両scFv抗体の抗原結合には静電相互作用が重要であり,疎水的相互作用が結合を安定化しているという結果が示唆された. (3)コンピューターモデリングにより(6-4)光産物認識scFv抗体の立体構造を構築し,それをもとにして抗原結合に重要と考えられる部位に適当な変異を導入した.変異型scFv抗体の結合活性を(2)同様にして測定し,抗原結合様式について考察した.
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