研究概要 |
1.本研究は、アンケート調査を踏まえて1994-95年の急激な円高など経営環境の変化に対しての中部圏中堅企業の対応の実態を明らかにすることにある。第1年目(平成7年度)はそのため、「円高対応」「企業経営」「地域京力」の三分野からなる25項目、114質問の「経営環境の激変に対応する中部圏企業のバイタリティに関するアンケート調査」が行われた。合計1000社を越える企業が対象に選ばれ、304社の回答をえた。 2.第2年目はアンケートの回収作業の続行と整理、統計と分析に力がそそがれ、その作業はなお進行中であるが、これまで得られた新たな知見等の成果はつぎの通りである。(1)「国際環境変化反応型&国際化消極的企業群」が37社ほど存在し、経営の現状維持と漠然とした見通しに身をおいていると、(2)「国際環境変化反応型&国際化積極的企業群」が25社ほど発見され、10年前に比べて経営の向上と明るい展望が期待されること、(3)「国際環境変化鈍感型&国際化積極的企業群」が42社ほど数えられ、特に大きな特徴が観察されないこと、(4)「国際環境変化鈍感型&国際化消極的企業群」が48社ほど見られ、経営の悪化と暗い見通しの状況におかれていること。以上のいわば類型的観察は、企業とのインタビューを含む裏付け資料と論点の整理が不可欠と考える。 3.いまひとつは、地域協力(ASEAN,APEC等)の動きについて、中部圏中堅企業の「関心」は必ずしも高くないこと。「知名度」の順位はASEAN,APEC,NIES,NAFTA,ESCAP,SARRCであった。地域協力の動きに対して、企業レベルでは「ほとんど関連がない」との認識がトップ(34.2%)を占める。この点の吟味も今後の課題となる。 4.研究成果は、中間報告として名古屋市商工会議所を通じてアンケート協力の企業に還元し、また最終報告書にまとめて学界に発表する予定である。
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