平成7年度の研究の成果としては以下のようなものが得られている。 1.炭素繊維、アラミド繊維の場合には、酸、アルカリ溶液による顕著な劣化現象は認められないが、ガラス繊維の場合にはアルカりによる劣化が著しい。これは特に強度の低下として現れており、アルカリ濃度が高いほど、環境温度が高いほど劣化速度は速くなることが明らかになった。 2.ガラス繊維のアルカリ溶液による劣化に対しては、拡散律則理論に基づく予測式で精度良く予測することができ、アルカリとガラスとの反応生成物はポーラスな構造をしていることが予測され、SEMおよびEPMAによる観察結果からもそのことが確認された。また、GFRPロッドの方が強度低下が大きいことが明らかとなった。 3.紫外線劣化については、炭素繊維およびガラス繊維の場合には顕著な劣化現象は認められていないが、マトリックス樹脂およびアラミド繊維の場合には劣化が認められている。今後さらに実験を継続することで劣化原因を明らかにすることができるものと考えられる。 4.クリープ荷重および疲労荷重による強度低下については、GFRPロッドが著しく、最も強度低下が少ないものはCFRPロッドであることが明らかとなった。このような現状が生じた原因は繊維の有する時間依存変形によるものであると考えられる。
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