研究概要 |
水道における酸化処理,消毒に用いられている塩素処理やその他の代替消毒・酸化剤による副生成物として,トリハロメタン,ハロ酢酸,アルデヒド類,抱水ハロラール類,ハロアセトニトリル類の有機物質の他,臭素酸などの無機物質も問題となっている.本研究では,単位操作による有機物の質的変化と無機物質の挙動及び処理条件により生成する副生成物の生成について検討を行った.プラント実験におけるそれぞれの副生成物の生成濃度からそれぞれの副生成物による発ガンリスクを算定し,それらの合計値から代替消毒・酸化剤の安全性を評価するという手法について検討を行ったところ,塩素処理においては塩素化副生成物によるリスクが大きく,オゾン処理においては臭素酸イオンによるリスクが大きいことがわかった。それぞれの消毒・酸化剤に関しては,消毒効果や共存天然有機物の酸化による生物学的安全性の低下なども考慮して安全性を評価する必要がある. また,それぞれの有機副生成物に関して,毒性のデータの整理と構造活性相関を用いた毒性予測ソフトによる変異原性及び発ガン性(マウス・ラット)の予測を行ったところ,ハロゲン化合物の塩素が臭素に置換された物質の方が変異原性や発ガン性をもつ可能性が高くなることが分かった.この方法による予測値と(文献による)実測値の適合率は,29件中25件(86%)であった.
|