研究課題
一般研究(A)
当初に本研究で計画した手法は主として心筋血流、代謝、受容体機能などを反映するトレーサを用いたオートラジオグラフィから血流と他の機能との解離を見出し臨床的にSPECT・PETを用い、心筋機能不全の病態解明および治療効果の判定に役立てようとするものである。このためには基礎、臨床両面からのアプローチが必要である。基礎的には^<125>I-BMIPP(ヨード脂肪酸)の心筋内動態を灌流心を用いて明らかにし心不全、肥大心モデルにおいて心筋血流異常の前に出現する心筋代謝の異常に対し、理論的根拠を与えるものとして外国で大きな評価を受けた。この灌流心の実験の成功に基づき^<99m>Tc-nitroimidazoleを用い、同様に灌流心において虚血や酸素不足の組織において本トレーサが心筋内に停滞し、陽性描出できることから、心筋症の進展過程における酸素欠乏の役割を評価できることを示した。さらにカルシウムイオンチャネルイメージングにより、イオンホメオスタシスとの関連で病態解明を行う可能性を示唆した。臨床応用に関しては平成8年度からの解析に備え、拡張型心筋症を対象として、^<123>I-MIBGを用いたβ-blocker療法の評価、^<123>I-BMIPPを用いたCoenzyme Q10による治療効果の評価を行うため症例をエントリ-している途中であり、大阪大学のみならず関連病院も含めた多施設共同研究として進行中である。