研究課題
基盤研究(A)
平成7年度から10年度にかけての4年間で、心筋機能不全における代謝・受容体画像を用いた病態解明および治療効果の定量的評価に関し、灌流心および疾患動物モデルを用いたオートラジオグラフィによる基礎的検討から、心筋SPECT、PETによる臨床的検討に至る幅広いスペクトルによる一連の研究を実施した。灌流心を用いて^<123>I-BMIPP、^<18>F-FDG、^<99m>Tc-HL-91などのトレーサ動態を明らかにし、さらに心筋症ハムスターなどの疾患動物モデルにおいて、血流・機能画像に比し、鋭敏に病変部位を検出できることを明確にした。また、カルシウム・チャネルイメージングに関する創薬にも着手し、イオンホメオスタシスとの関連で病態解明の行える可能性を示唆した。臨床応用においては、^<123>I-BMIPP心筋SPECTを用いた肥大心筋の早期検出および予后評価、拡張型心筋症においてCoenzyme QlOを用いた治療効果の判定が代謝画像を用いて定量的に行えることを示した。^<123>I-MIBG心筋SPECTを用いてその心筋内分布の意義を明確にした上で、定量的評価法としての心筋洗い出し率や、心筋/上縦隔比は心不全の重症度と相関することを、さらにβ-blocker療法の判定に有用なことを明確にした。また^<18>F-FDG心筋PETを用いた肥大型心筋症、拡張型心筋症の病態解明および重症度評価が定量的に行えることを示した。このような心筋機能不全を予知するための代謝・受容体画像による詳細な病態解明および早期検出法としての本研究の意義に加え、治療効果の定量的評価法の開発は移植医療が現実のものとなりつつある時代において、その要求に合致した科学性に富んだ計測技術として活用できる事を実証した点において有意義な研究である。
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